ヒューマン・コメディ



ふと思い出して、ウィリアム・サロイヤンの『ヒューマンコメディ』(『人間喜劇』と訳されているのもある)が読みたくなった。 

ウィリアム・サロイヤンは、アルメニアからアメリカへ移住した親のもとに生まれた。

この本は、少年期の記憶にもとづいているみたい。


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14歳の少年ホーマーは学校に通いながら、電報配達人のアルバイトをはじめた。

父は亡くなり、兄は徴兵されて戦争へ行っている。

家族や町の人たち、クラスメイトとの関わりのなかで成長していく姿が描かれてる。

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それぞれの登場人物が、ユニークで、素朴で、人情味にあふれていて、さまざまな体験を経て生まれただろう言葉がいい。

息子が戦死した電報を未亡人に届けるなど、ホーマーの日常にも戦争や死の雰囲気、悲しみはただよっている。

それでも読んだあと温かく、生きているって素晴らしい、という気持ちになる。


表現が実際的で分かりやすく感じる。ホーマーに諭す大人たちの言葉、けっこう長いんだけど説教くさくは感じなくて胸に響く。


そのなかのひとつ。古代史のヒックス先生の言葉。

彼女は、ホーマーの兄も、その学校の他の若い教師も教えてきたベテランの先生。


「…生徒が人間らしくあるかぎり、態度までみんな同じであってほしいとは、私は思いません。

堕落していないかぎり、一人一人がどれほど違っててもいい。

私は生徒一人一人に自分らしくあってほしいの。私を喜ばすためや、私に迷惑をかけないために、ほかの誰かを真似してほしくありません。

クラス全員が申し分のない小さな紳士、淑女になってしまったら、私はきっと、すぐに飽き飽きしてしまうと思うわ。

私はね、生徒たちに一人一人が独立した、一人一人が独特の〜一人一人がそれぞれ違った魅力を持った〜そういう人になってほしいの。…」




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